バススイッチとは
バススイッチは、電子回路の中の信号ラインに使用されるスイッチです。
信号ラインに使用するスイッチは、アナログスイッチやバススイッチがありますが、デジタル信号用に最適化されたのがバススイッチです。
バススイッチは大きな電流を流す部品ではないため、電源ラインのスイッチとしては使用する事ができません。
電源ラインのスイッチには使用に適したロードスイッチを選定する必要があります。
バススイッチの役割
バススイッチの基本的な動きは機械的なスイッチと同様にON/OFFの切替です。
この動作をMOSFETで実現できるようにしたのがバススイッチで、信号の方向は気にせず、双方向でも使用する事ができます。
機械スイッチはON/OFF切替のみですが、バススイッチの中には入力信号電圧のレベルを変換(昇圧・降圧)して出力する機能や、信号の接続先を切り換える機能をもった製品もあります。
バススイッチの種類
バススイッチは、スイッチ部の構造と電源供給回路の違いによりNchタイプ、Nch + Pch タイプとチャージポンプタイプの3種類に分類できます。
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Nchタイプ
Nchタイプでは、スイッチ部分の MOSFET のゲートに電源電圧(VCC)が印加され、ドレインまたはソースには信号電圧が印加されます。(ON状態)
※Nchタイプのみ出力にレベルシフト機能を持たせることが可能です。
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Nch + Pch
Nch MOSFETとPch MOSFETを並列接続した構造になっているため、スイッチ部のオン抵抗特性は、Nch MOSFETとPch MOSFETの特性を併せ持ったものになります。
オン抵抗の特性カーブは入力電圧0Vから電源電圧まで、ほぼ平坦な特性となるため、出力信号電圧をフルスイングで使用する事ができます。
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チャージポンプタイプ
Nch + Pchタイプと同様、出力信号電圧の利用範囲を改善した、Nch MOSFETのみ使用するタイプです。
電源電圧をチャージポンプ回路で昇圧することで、スイッチ部のMOSFETのゲート電圧を高く保つことができます。
そのため入力電圧に対するオン抵抗は低く、特性カーブは平坦になる特性を持ちます。よって、入出力信号電圧をフルスイングで使用可能となります。
上述の特長により、高速信号に対応可能なチャージポンプタイプですが、他のタイプよりも消費電力が大きくなるという短所もあるため、注意が必要です。
<参考文献>
https://toshiba.semicon-storage.com/info/application_note_ja_20210131_AKX00097.pdf?did=68796
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/articles/bus-switches-for-speed-safety-efficiency.html