TVSダイオードとは
TVSダイオードとは、過電圧やESD保護を目的としたダイオードで、ESD保護ダイオードとも呼ばれます。
TVSという名称は「Transient Voltage Suppressors」の頭文字からきています。
TVSダイオードの動作
TVSダイオードは静電気や想定外の過電圧から後段の回路を保護するために使用されます。
基本的な仕組みはツェナーダイオード(ZD)と同様で、逆方向特性を利用します。
TVSダイオードは回路が通常動作しているときはOFF状態となっており、一定のリーク電流のみ流しますが、過電圧が印加された場合にON状態となり、パルス電流をTVS側に流し電圧クランプすることによって、後段の回路や部品を保護しています。
TVSダイオードとツェナーダイオードの違い
TVSダイオードは、ZDの一種であり、回路記号も同じ表記のため混同されがちですが、異なる目的に使用されるため部品選定には注意する必要があります。
定電圧を得る目的で常にON状態で使用されるZDに対して、過電圧などが印加された時のみON状態となるTVSダイオードでは、通常時に使用している領域が異なります。
TVSダイオードは通常時電流がほぼ流れない領域での使用となるため、印加される電圧はクランプされず、後段の回路に影響を与えることはありません。
一方ZDでは通常時から降伏現象が生じる領域で使用するため、後段の回路に一定の電圧を供給し続けます。(基準電圧)